リズムとは
初期のエレクトーンは、オルガンの色あいを残しつつ、音色を変えられる程度のものであったのかもしれない。音色数や設定が多様になったことで表現が豊かになった一方、奏者をサポートするリズムパターン、そして自動伴奏パターンをなくしては、エレクトーンを語ることは難しい。
リズムパターンとは、一番シンプルな機能で考えると、
ピアノでいうメトロノーム
にあたるだろうか。演奏速度に合わせて拍数を合わせるためのものであり、ここに打楽器やドラムをひとまとめにした機能である。マーチングバンドやサンバ、8ビートなどの基本的なリズムパターンが用意されたものの、
固定パターン
だったため、初期の段階では利用されてたとは言いがたい部分もある。
バリエーションパターン
楽曲のドラムにおいても、一つのフレーズの中で最初と最後の小節はパターンが変わる場合が多い。FSFX時代に取り入れられ始め、現在では
スタイルファイル(SFF)の規格
に基づいて、一つのリズムに15パターンのバリエーションを組み込んでいる。ここは細かい箇所なので、後述とする。
裏技
固定パターンしかなかった頃の裏技的なものとして、2つのリズムパターンをミックスするというものがあった。通常はリズムパターンのボタンを一つだけ押すところを、2種類を同時に押してやると、2つがミックスされたような別のリズムパターンができる。
機能が限られていただけに、割と有名な話
のようだ。
また、フレーズの最後のパターン(フィルイン)をリズムの途中でかけて、途中からパターンを変えてしまうというのは、今でも即興演奏などで使われる手法でもある。小節の途中でフィルインをかけることで、以降のリズムをカットするとか、次の小節の頭にシンバル音を入れるなど、昔の機種であればあるほど、裏技的なものは生み出されたようだ。
シーケンス
レジストのメモリがなかった時代には当然であったが、曲の中途でリズムを変えるのはなかなか大変なことである。これを解消するために、リズムシーケンスプログラマーなる機能がFSFX時代には登場した。1小節ごとにリズムを登録しておいて、演奏時には自動でリズムパターンが変わるという仕組みで、これにより、
演奏者は演奏のみに集中する
という棲み分けが進んだ。
レジストシーケンス
さらに、リズムに合わせてレジストも変更できるようになったのは、正確にはステージアが登場してからと言えよう。プロトタイプはHSHX時代に遡るが、当時の機能は拍数単位だったことで、便利な機能であったにしても不評だった。EL時代には一度なくなり、ステージアでは十分な機能として復活することとなった。
まとめ
エレクトーンの特長としての、
「弾くだけで豪華な演奏」
という部分は、現在のエレクトーンでほぼ完成段階に入っていると言えるでしょう。シンセサイザーレベルのことはできないにしても、かなりのことが実現できるようになっているはずです。それゆえ、
「弾くだけの音楽ゲーム」的な捉え方
もされますが、確かにあるでしょうし、そういうユーザもいます。
楽譜とレジストデータを購入して豪華な演奏ができる、これもエレクトーンの特長であり、自分で楽譜を書いて音色も手作りでできるのも、もちろん
です。