かつての演奏スタイル
トーンレバーで各鍵盤の音色を設定していた時代、具体的には80年代前半くらいまでは、音色を変更しようと思えば、各レバーを動かす他ない。
演奏者自身が演奏中に手動で変更したり、
スタッフが手助けしたりしていた。
音色群の記憶
FSFX時代に入ると、音色群のボタンに各音色が割り当てられた。各音量もデジタル化が進み、
パネル上の音色や効果を記憶する機能
が追加された。そして、一つのボタンを押すことで、
瞬時に記憶した音色を呼び出すことができる
ようになった。
これにより、一つの楽曲の中で、
音色を変えて演奏するのが主流となった。
当時はメモリの数は4~9であったため、今のような細かい変更ではなく、かなり大雑把なレベルではある。音色数相応とも考えるべきか。
レジストレーションメモリーの進化
記憶する機能はレジスト(レジストレーション)と呼ばれ、順次進化を遂げる。
次のHSHXモデルでは8~16、EL-xxx世代では演奏中に次のレジストを読ませることで、16×N、ELS-02シリーズでは80となり、
楽曲中の僅かな音色の変化まで
レジストに組み込んで実現できるレベルになった。
外部記憶装置(FD)
デジタル化が進むことにより、楽曲ごとのデータを管理する必要が出てくる。FSFXで
最初に使用されたのはFD
であった。8~9のレジストを一つのトラックに読ませることで、発表会やコンサートなどで重宝された。
外部機器が安くなかったため、家庭用としてRAMパックという記憶媒体が登場した。FSシリーズの最後FS-30Aと後のFSFX時代が全盛期で、その後のEL機からは、外部機器だった読み取り側の装置を、エレクトーン内に組み込むようになった。なお、
RAMパックは単体でかなり高価であった
ため、センターなどでは外部機器とFDの流れが続いたのは事実である。
ELシリーズからの記憶媒体
90年代に入り、ELシリーズではFD一本に絞られた。エレクトーンのデータとしての記憶容量はそれほど必要ないため、
当時普及していたFDがちょうどよかった
ものと思われる。現在はパソコンを利用していてもFDを使うことはまずないのだが、当時はまだ、パソコンへのインストールなどの際にはFDが主流だったため、
かなり安価なものだったことも重要な要素
であろう。
そして、ステージアの時代へと突入するにあたり、互換性を維持するためにもFDが標準となった。ただ、スマートメディアの挿入口も設けられ、一時期併用されていたが、のちに、小型記憶メディアの主流がSDカードになるとともに姿を消してしまった。
そして、エレクトーン自体のデータ容量も次第に大きくなり、
USBメモリでのデータ記憶
という現状のスタイルに落ち着いている。これが2009年のことで、ELS-01Uモデルが発売され、それ以前のステージアについては、
USB端子に接続することで使用できる
ようになっている。
また、旧来のFDの販売がなくなったこともあり、ELシリーズにはUSBメモリ対応のモジュールが販売されており、
記憶媒体は一つに統一された
と言える。
まとめ
大容量、かつ、手軽に使えるUSBメモリが主流になったことで、データの管理は非常に楽になりました。以前であれば、FDやRAMパックをいくつも持ち歩く必要があったものです。エレクトーンの進化に伴い、データ量も倍々くらいに増えていると想定され、エレクトーンだけの特殊なメモリを使用するよりは、
グローバルなUSBメモリが使用されたことは正解
だったのでしょう。