エレクトーン初代機のその後
トーンレバー式の初代機から20年は、改良を加えつつの進化で、普及機もかなりの数が売れる時代になっていた。その過程で登場した
GX-1は、エレクトーン史上最高のエレクトーン
とも言われ、一方では、
現在のシンセサイザーの遺伝子を色濃く持っている
ため、異端的な側面もある。
新時代FS、FXの時代へ
80年代、エレクトーンとしての一つの革命的な機種が、FS、FXシリーズであろう。
それまで、音色を選ぶ際には、トーンレバーで音量を調整するものだったのが、
パネルに並んだボタンを選択する形式
に代わった。それぞれの音色は、新たに導入されたFM音源によるものとなり、音質も向上した。
発表会やコンクールの場面でもパネルで選択されている音色のランプが光るため、
舞台の照明が落ちたときに、無数の赤いランプが輝く
のも、その時代からである。
レジストレーションの登録
一番画期的だったのは、
レジストレーションが登録できるということ
だろうか。このレジストレーションというのは、パネルに設定された音色などの情報を記憶しておくための機構で、演奏途中で音色や効果を変更したいときに、ワンタッチでおこなえる。FSの普及機のメインであるFS-30などにも搭載され、
以降のエレクトーンで拡張、標準装備
となった。
同シリーズでの互換性の問題
当時のエレクトーンは、新機種を発表すれば売れていく時代だったので、試験的な意味合いもあったのだろうか。同じ時期に発売されたシリーズでも、
形式が違ったり
することがあった。FSとFXについては音色は手作業でやるにもそれほど手数を踏むものではなかったものの、次の世代では大きな問題となった。
路線変更にも思えたHS、HX時代
FSFXシリーズのあと、メインとなる機種が出る前にもエントリーレベルのエレクトーンが登場している。木の囲いのウッディなイメージのあったエレクトーンが、ブラックフェイスのスタイリッシュモデルで、それまでのエレクトーンのイメージを覆すようなところもあったのだが、メインとなるHSHXシリーズにも引き継がれた。
見た目の印象も代わったのだが、機能的にはかなり
シンセサイザーに近い機能を導入
しており、リズムの作成や音色をエディットすることもできるようになった。限りた機能ではあったが、エレクトーンのシステムで初の機能でもあり、表現力が格段に上がった。
それ故に、
パネルで操作できる内容も格段に増えて、
同じデータを上位機種で使いたい、
というのは普通の流れだろう。下位互換はないにしても、上位互換がないのはどうであろうか。コンクールなどで上位機種を使用する場合は、数多くのデータを手作業でやり込むしかなかった。
しかも、短命だったHSHXは、次の機種にデータを移行できる術もなく、
混乱の時代
エレクトーン離れの時代
とも言わざるを得なかった。
まとめ
エレクトーンが進化していく上で、機能の改良は当然必要です。ところが、それに伴って古い機能のものは淘汰されていくものです。モデルチェンジが一番頻繁だった頃、特に
メイン機種や上位機種を使っている人からは当然、悲鳴が
聞かれました。安い買い物でもなく、
3年で買い換えというのは確かに異常な事態
です。
それに比べると、今はかなり緩いです。エレクトーンとしての機能はほぼ備わったということなんでしょうが、
最近のエレクトーンのサイクルは10年、
しかも一つ前の機種でも十分な機能と互換性があるので、エレクトーンわ買おうとしている方には朗報かもしれません。